金額に見合う

同業者でも、考えかたはそれぞれあると思います。

というのをまず、前置きで言わせていただいてから今日の話をします。

私がYouTube始めたきっかけは、「自分の作業単価を上げるため」というのは以前にバラしました(言いましたじゃなくバラしましたですね。なぜなら隠しておきたかった本心だから)

鈑金屋の置かれた立場で出てくる弊害のひとつとしてあるのが、元請けに金額を決められてしまうというのがあります。あるいは決められてなくても「とにかく安くやってくれ」と言われます。

開業以来、いろんな業者からの仕事をやってきて、それなりに継続的な入庫いただいてたところもありますが、上のふたつのパターンのところは、それとなくフェードアウトする形で付き合いをやめてきました。(今の立場ならはっきり「やらない!」って断れるけど当時は若いし生意気になりかねないので、のらりくらりで断る戦法をとってきました)

なぜかというと、単純にしんどくなってくるからです。

低めの金額を決められてしまっていたり、とにかく安くやってくれと言われても「この金額ならこんなもんだろ」という手の抜き方ができずにきっちりやってしまうからです。

というか、きっちりやっていても色合わせが完璧にならなかったり、元の下地の不具合だったりが関係するトラブルが出るのが塗装なので、手を抜く余裕が基本的に無いんです。

で、低い金額に合わせる形で済ませようとすると、とにかく雑な仕事になります。それはもうパッと見るからに雑なものになります。

お金を稼ぐために仕方なく従事している仕事であれば、それでもいいのかもしれませんが、好きでやってる仕事で雑な仕上がりを胸張って堂々と出すことが出来るようなズボラなメンタルではないので、安かろうがやることはやって、割に合わなくても「実作業で経験を積んで技術を磨く」ためだと思ってやってました。

あ、これね、やってる本人が心の中で思ってる分にはいいんですけど、まわりが言っちゃダメですよ。まして仕事を頼む側が言うのは絶対ダメ。

ま、それはいいとして、そんなふうにして割に合わない仕事をずいぶんやってきましたが、今ふと思うのは、金額に見合った、金額に合わせた形であの頃の仕事をこなしてたら、ってことです。

もしかすると、そうしてた方がお金は残ったかもしれません。

しかし、ひとつ間違いなく言えることは、安い金額に見合った雑な仕事しかできない職人になっていただろうということです。

そうなってしまったら、そこから単価を上げるっていうのはまず無理だったでしょうね。