ものの価値感覚

納車後セキュリティの動作が完全でなく、それの手直しで月曜日にハチロク再入庫してました。すぐに直りまして昨日また納車となりました。

これでやっとハチロク編の完結です。

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最初レストアの相談いただいたのは何年前か今となってはちょっと分からなくなってしまいましたが、その数年後の2020年2月に入庫となりました。

実際はそのときまだ作業できる順番は回ってきてなかったのですが、車検が切れるタイミングだったのでお預かりしました。作業は数ヶ月に及ぶと予想されたからで、公道走らないのに車検通しちゃってたらその間もったいないですからね。で、実際作業開始できたのは4ヶ月後の2020年6月からでした。

そして数ヶ月どころかそこから1年以上掛かってしまったわけですが、まあなんというかですね、とにかくこういった仕事は同業者では受けるところはないですよ。単純に商売にならないからです。ネットの書き込みでは「ハナブサオートのハチロクは500万のレストア」という話が勝手にされてたりしましたが、そんな金額で受けるわけないし、それこそそんな金額で見積りだすことがあるとすれば、それは体良く仕事を断るためです。これは誤解を生む言い方になるかもしれませんが、はっきり言って

ハチロクに500万も掛けてレストアする価値はありません。

見下してるわけでもなんでもなく、ものの考え、自分の感じるクルマに対する平衡感覚の中での問題です。

今、旧車の価格が高騰してるのは周知のとおりです。好きなひとが手に入れるのに「機能の価値としてのクルマ」の金額以上の莫大な資金がいるということに対して私は「異常だ」と思う感覚を持っています。だから普段使いしないクルマ、いわゆるクラシックカーのレストアはあんまりやりたくないんです。だってそのクルマ、年間何キロ乗るの?車庫にしまっておくだけのクルマに何百万円も掛けてレストアするの?

価値観は人それぞれだから、してもいいと思うけど、私に依頼がきたら正直乗り気じゃありません。何百万円も掛けて、ほとんど乗らないとか、それ私が作業する必要あるかな?って思う。莫大な予算があるひとは社員抱えた有名なレストアショップに出してもらった方がいいと思います。

私は普段使いもちゃんと出来るクルマ、それのレストアならば、それなりに金額掛けてもいいよねって思うほうだし、それで安心して作業に取り掛かることができます。だからといって500万は言わないですけどね。しかし結果的に今回のハチロクは手間でいったらそれぐらい掛けてしまった。請求はしてないけど。

ほんとこの1年よく生きてられたなと思う。世の中コロナで客足減って経営大変だったところも多いと思うけど、うちは、作業をやりすぎて経営が逼迫してました。YouTubeの収益は微々たるものでも生活費の足しにはなったからなんとかなったというのと、あらたに借金もしたりして結構ギリギリ綱渡りでの営業でした。

やり出すと、やりすぎちゃうんだよなあ。

次からはキッチリやっても価格抑えるためにどんどんオーナーに手伝わせるようにしようかな。

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とにかく、私はたまに出かけるときに着る服はペラペラの安物でいいと思ってますが、毎日着る普段使いの作業着は安物は絶対に着ないです。そういう価値観の持ち主なんです。

オーナー曰く、ボディ剛性が上がったのが感じられるそうです。こういうのが感じられるレストアをやっていきたい。