逃げられた当日は、子犬のもらい先との間に入ってくれた友人も飼い犬を連れてきて、後から動物好きのその娘まで来てくれて、夜更けまで捜索するものの見つけることができませんでした。
あけて翌日、何気に私が山の中に入っていったら、そこでばったり出くわし、逃走劇があったのは昨日の日記のとおりです。
そしてその日、まずは役場に状況を報告しました。そこで、保健所で罠を借りてはどうかというアドバイスをもらい、一路保健所へ。
まだ子犬なので、誰かに拐われてしまわないかという心配がありました。しかし、どうもあの子犬は臆病なようだから遠くには行かないのではないか、それとあのすばしっこさ、そしてひと懐っこさがまるでないことから、そういう心配はないかなという妙な安心感はありました。唯一、逃走劇を経験した実感です。
保健所から野犬生け捕り用の罠を借りてきました。とくに子犬用とかではないので鉄の格子のガッチリした檻でした。そこで職員に「一度失敗すると、もう入らなくなっちゃいますから慎重に」と言われ不安になりましたが、とりあえず持ち帰りそれを山のそばに設置しておきました。
しかし、簡単には入りません。罠には入らないですが、昼間、近くの畑に出てきては日向ぼっこをしている子犬の姿を何回か嫁氏が目撃します。
うん、やっぱり山が潜みやすいのかそこを抜けて遠くには行かなそうだぞと、腹が減れば罠のエサに来るはずだ。山を背負ったこの家の立地がよかった。じっくり待つことができる。
しかしこれがなかなか警戒心が強く罠に入りません。でも、夜寝室で寝ていると外から「きゅんきゅん」と鳴き声が聞こえることがあったんです。山の近くのこの家を気にしているのは明らかでした。
2日目の夜には子犬の母犬に来てもらったり、親戚で飼ってる柴犬に来てもらったり、なんとか誘き出せないかいろいろやってみましたが、反応はありつつも、捕まえるまでには至りませんでした。
保健所で借りてきた罠ひとつでは足りないからと、私の父親が畑に仕掛ける罠もセットしようということになって、それは保健所の鉄格子のガッチリしたものではなく、網張ってあるカゴのようなものです。そこにエサをセットして、嫁氏が日向ぼっこを目撃したあたりに置いておきました。
そして、運命のときがきます。
4日目の昼近く、そのカゴに子犬が入りました。
さっそく、嫁氏が汚れた子犬をシャンプーしてキレイにしてあげました。
逃げられたばかり、とりあえずは保護して家の中においておきました。
この時点では、まだ私はやはり家の中で飼うつもりはありませんでした。犬小屋を用意したら外で飼うつもりでした。
しかし、保護した次の日、また事件が起こったのです。
つづく