鉄の骨

「いや〜人気者は大変ですよ〜、次から次へとみんなクルマ持って俺に会いにくるんだもん〜」

などという軽口を叩く余裕もなくなるほど、今月は混んでました。いやほんと忙しくやらせてもらってこれはありがたいことです。

なんとか今週から息ができるくらいには落ち着いてきました。とはいえまだまだ今週も、エアバック展開した事故車を仕上げなくてはならなかったり、通常の鈑金塗装もあったりで、全塗装でお預かりしているクルマの進捗停滞にしわ寄せがきてしまっているので、けして時間に余裕があるわけではないのです。時間に余裕があるわけではないのにちょっと、というかかなり気になっていることがあります。それは吉本の騒動です。

話題にもしたくない悲惨な事件があったりする中、とくに自分に関係ない芸能界の話なので無責任に楽しんでしまっています。

もともとこの話題には疎かったのですが、日曜日の朝起きるとスマホに動画配信の通知が来てて、雨上がり宮迫とロンブー亮がただならぬ表情で並んでるサムネだったので、なんじゃこりゃと思って見始めました。それがノーカット版のあの会見の動画だったわけですが、内容があまりにも衝撃的だったので食い入るように見てしまいましたね。そこから後追いで、単行本を読み漁り最新刊の連載に追いつけみたいな感じで見てきました。もともとは事務所通さない直の営業で反社から金を受けとったということが問題だったらしいですけど、いろんな問題が出るわ出るわ。社長の会見では、え?日本を代表するエンタメ企業の上層部がこんな感じなの?みたいな、とにかく絡んでくる人たちのキャラクターも豊富だわ、大物から下の者から、もう辞めてる人から、SNS時代ゆえ、いろんな立場の人の言い分が聞けるから、みんなにセリフが割り当てられているドラマを見ているようです。もう、企業とそこの人間模様を描く池井戸潤原作のドラマを見ているようです。とはいえ何かに挑戦する系の『下町ロケット』や『陸王』じゃないんですよねぇ。あの辺は割と勧善懲悪なところもありますから。そうじゃなくて企業の不正や隠蔽体質に翻弄される人間ドラマという意味では『空飛ぶタイヤ』だし、これまではそれが通ってたがもう時代にそぐわないから変革が必要な業界の話という意味では『鉄の骨』なんですよねぇ。『鉄の骨』は大手ゼネコンの建設現場で働く正義感の強い主人公が現場で騒動を起こしてしまい、その処分として土木の談合をする部署に回されて、という流れから話が展開していく物語。正義感の強い主人公、物作りの現場から、正しいことではない「談合」を調整する課で葛藤しつつ、デカい仕事を動かしているやりがいから、どっぷりと談合屋になっていく。しかし、もともと実は処分で談合課に回されたのではなく、、会社の思惑は別のところにあり、、と思ったらその会社も実ははめられていて、、そしてそれの黒幕とされる人は業界守るためなら清濁併せ呑むような人で、対立する主人公側もその人に恩があるのだが、やはり、それでもその人の、談合を取りまとめるというやり方が時代の流れにそぐわなくなり、、各社各人それぞれの事情と思惑の中、主人公は葛藤しながらも戦う、みたいな、面白いんですよ『鉄の骨』原作も読んだけど、ドラマの方が脚本良く練られて面白いです。

そんな吉本騒動、芸能界、テレビ界の、時代にそぐわない悪弊の問題にまで発展してます。この騒動で「そもそもの論点がずれてきてる」なんていう意見も散見されますが、いや、これは、物語が展開して広がってるんですよ。そういうドラマです。

事実は小説より奇なり。