節目のクルマ

さて今日は、いろいろ思い出たくさんできたシエラRSコスワースが納車となりました。

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晴れた日に気持ち良く納車したかったですが、コーティングもしっかり掛けてあるので、その意味ではすぐに効果を見てもらえて、今日みたいな雨の日の納車も悪くはないのかなと思ったりもします。

ほんとに思い出作るクルマです。最初に全塗装でお預かりしたのが3.11の直後だったんですよね。もちろん震災前に予約いただいてて、震災があって、こっちはたしか3日くらい連絡つかない状況だったんですよね。未曾有の出来事だったので先行きの不安からキャンセルもやむなしと思っていたら、ちゃんと(ちゃんとって言うのもおかしいですが)「当然でしょ」みたいな雰囲気で入庫してくださり、仕事をさせていただきました。

そして今回、これはもう皆さん周知の通りの未曾有の世界的蔓延の事態が起こって、この絡みでうちでも予約いただいていた方がキャンセルになったりしました。そんな中、今回も仕事させてもらえて、まあ大変でしたけど、その分、得るものもありました。これをやり終えたことでまた一つ成長させてもらったと思います。こんなんどこのクルマ屋も商売考えたらやるわけないし、講習探してもどこも教えて無いですし、誰かから教えてもらって得られるスキルではないです。だから貴重なんです。

実際、何を得たかっていうと、精密さですかね。精密って言っちゃうとやや言い過ぎ感がありますけど、ルーフ開口部とサンルーフモールの当たり加減、ここの微妙なクリアランスの調整ですね。この正確さをいつものピース制作にフィードバックすることで、よりピースの造形が美しくなるような気がします。サンルーフのフレームは鋼板の変形を逃す場所がなく、とにかく歪ませないというのが重要でした。

無駄に叩き過ぎず、少ない打数で作ると、ピースは美しいんですよね。その意識がさらに一段上がったかなと思います。

まずは意識が上がることが大事で、そうなればそこに技術を持っていく努力をするわけです。

腕の差は器用不器用の差じゃないです。意識の差です。

意識が先にあって、そこを目指してコツコツやるかやらないかの違いなんですよね。